ハローワークの庁舎の外観(Drivephotographer、Wikimedia Commons、CC0)

就活対策

就活で企業の離職率・残業を調べる方法|しょくばらぼと若者雇用促進法の12項目【28卒】

気になる企業の離職率や残業時間を、応募する前に知りたいと考える人は多いはずです。新卒向けの求人を出す企業には、若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)にもとづいて職場情報を提供する義務があります。応募しようとしている段階の学生も、企業に情報の提供を求めることができます。この記事では「しょくばらぼ」での調べ方、企業への求め方、ユースエール認定の条件、数字の読み方をまとめます。

この記事の根拠は次の4つです。厚生労働省・大阪労働局・ハローワークのリーフレット「就労実態等に関する職場情報を応募者に提供する制度について」、大阪労働局の若者雇用促進法の解説ページ、厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」の利用方法と3サイト連携のページ、厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークのリーフレット「ユースエール認定企業を知っていますか?」です。いずれも2026年10月17日に確認しました。

若者雇用促進法で企業に求められていること

若者雇用促進法は平成27年10月1日から順次施行されました。主な柱は3つあります。

  • 事業主による職場情報の提供の義務化(平成28年3月1日施行)
  • 労働関係法令に違反した事業主の新卒者向け求人をハローワークが受け付けない仕組み(平成28年3月1日施行)
  • 若者の採用・育成に積極的な中小企業の認定制度(ユースエール認定、平成27年10月1日施行)

対象は新卒者等であることを条件にした募集や求人を行う企業です。幅広い職場情報の提供は努力義務です。そのうえで、応募者や応募しようとする人、ハローワーク、学校を含む職業紹介事業者から「求め」があった場合は、次の3類型それぞれについて1つ以上の情報を提供することが義務になっています。

3類型・12項目の一覧

類型 情報提供の項目
(ア)募集・採用に関する状況 過去3年間の新卒採用者数・離職者数
過去3年間の新卒採用者数の男女別人数
平均勤続年数(参考値として、可能であれば平均年齢)
(イ)職業能力の開発・向上に関する状況 研修の有無及び内容
自己啓発支援の有無及び内容(教育訓練休暇や短時間勤務制度があればその情報を含む)
メンター制度の有無
キャリアコンサルティング制度の有無及び内容(セルフ・キャリアドックを含む)
社内検定等の制度の有無及び内容
(ウ)企業における雇用管理に関する状況 前年度の月平均所定外労働時間の実績
前年度の有給休暇の平均取得日数
前年度の育児休業取得対象者数・取得者数(男女別)
役員に占める女性の割合及び管理的地位にある者に占める女性の割合

義務になっているのは各類型から1つ以上です。求めても12項目すべてが出てくるとは限りません。ただし国の指針では、全項目をホームページや会社説明会、求人票などで積極的に提供することが望ましいとされています。

この一覧は、厚生労働省・大阪労働局・ハローワークのリーフレット(管理番号LL290210、平成29年度の資料番号)にもとづいています。現在の運用や項目は、厚生労働省や都道府県労働局のページで合わせて確認してください。

情報は企業全体の雇用形態別で、正社員の募集なら正社員の数字です。(ウ)の女性の割合だけは全労働者が対象で、海外勤務者は除かれます。

求めることができる人

求めができる「新卒者等」には、学校や専修学校などの卒業見込みの人、職業訓練の修了見込みの人、それらの卒業者・修了者が含まれます。ただし、その募集の対象外であれば求めはできません。卒業後に新卒枠で応募するときの考え方は既卒・第二新卒の就活でも整理しています。

しょくばらぼで先に調べる

企業に直接聞く前に、まず公開されている情報を確かめましょう。厚生労働省が運営する「しょくばらぼ」は、企業の職場情報を検索・比較できるサイトです。トップページによると、掲載企業数は152,380件(2026年10月1日時点)です。

検索は3通り

学生・求職者向けの利用方法のページでは、検索の方法が3通り案内されています。

  • タイプ別検索
  • フリーワード検索(企業名などで探す)
  • 詳細条件指定検索

トップページには「新卒向け」「ワークライフバランス」などのタグ検索もあります。応募先が決まっているならフリーワード検索が手早く使えます。

比較機能とユーザー登録

複数の企業を並べて見る比較機能があります。パソコンでは検索結果の一覧で企業にチェックを入れ、「選択した企業の情報を比較」を押します。スマートフォンでは企業を「気になる」に入れてから「気になる企業を比較」を使います。ユーザー登録をすると、検索条件や気になる企業を保存できます。

応募先の候補が多い人は、企業別のまとめで選考の情報を確かめつつ、職場の数字はしょくばらぼで並べて比べると整理しやすくなります。

ハローワークインターネットサービス・job tagとの連携

しょくばらぼは、ハローワークインターネットサービスと法人番号で連携しています。求人情報欄のリンクから、その企業の職場情報に移れます。職業情報提供サイトのjob tagとも連携しています。

厚生労働省の3サイト連携のページでは、求人はハローワークインターネットサービス、職業の情報はjob tag、職場の情報はしょくばらぼで調べる使い方が紹介されています。新卒の例では、新卒者の採用・定着状況、インターンシップの受入可否、有給休暇取得日数、月平均所定外労働時間、平均年齢、教育制度、くるみん認定・ユースエール認定の有無などを比べています。インターンが終わった後の動き方を考える際の材料にもなります。

しょくばらぼは登録制のため、探している企業が見つからないこともあります。その場合は次の「求め」に進みます。

載っていなければ企業に求める

応募者や応募しようとする人が求めるときは、メールや書面などで次の4項目を企業に伝えます。

  1. 氏名
  2. 連絡先(住所またはメールアドレス)
  3. 所属している学校名と在学年、または卒業年月
  4. 情報の提供を希望する旨

説明会や面接、本人確認ができる場合の電話など、口頭でも求められます。プレエントリーも「求め」にあたります。企業はメールか書面で答え、ホームページに載せている場合は掲載箇所を示すこともできます。

メール文例

以下は例です。宛先の部署名や知りたい項目は、自分の状況に合わせて書き換えてください。

件名:職場情報の提供のお願い(〇〇大学 〇〇〇〇)

株式会社〇〇 人事部 採用ご担当者様

〇〇大学〇〇学部3年の〇〇〇〇と申します。2028年3月卒業見込みです。
貴社の新卒採用への応募を検討しており、若者雇用促進法にもとづく職場情報の提供をお願いしたくご連絡いたしました。
可能であれば、過去3年間の新卒採用者数・離職者数、研修の有無及び内容、前年度の月平均所定外労働時間の実績についてお教えいただけますと幸いです。ホームページに掲載されている場合は、掲載箇所をお示しいただければ確認いたします。
お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。

〇〇〇〇
〇〇大学〇〇学部〇〇学科3年
メールアドレス:〇〇〇〇@〇〇〇〇

返信の期限は公式資料に書かれていません。待つ間もほかの準備は進めておきましょう。

求めたことで不利に扱うのは禁止

情報の提供を求めたことを理由に、企業が応募者を不利に扱うことは禁止されています。典型例として挙げられているのは、求めた人にだけ説明会などの採用選考に関する情報を知らせないことです。選考中の不適切な扱いが気になる人はオワハラへの対処も参考にしてください。困ったときに相談できる公的な窓口は就活で迷ったときの相談先にまとめています。

ユースエール認定の条件

ユースエール認定企業は、若者の採用・育成に積極的で雇用管理の状況などが優良であるとして、厚生労働大臣が認定した企業です。対象は常時雇用する労働者が300人以下の中小企業です。認定には、次の基準をすべて満たす必要があります。

項目 認定の条件
募集 学卒求人など若者を対象にした正社員の求人を募集していること
育成 人材育成方針と教育訓練計画を策定していること
離職率 直近3事業年度の新卒者等の離職率が20%以下(採用者が3人または4人の場合は離職者1人以下なら可)
残業 前事業年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下で、月平均の法定時間外労働が60時間以上の正社員が1人もいないこと
有給休暇 前事業年度の正社員の有給休暇の取得率(付与日数に占める取得日数)が年平均70%以上、または年平均取得日数が10日以上
育児休業 直近3事業年度に男性の育児休業等取得者が1人以上、または女性の育児休業等取得率が75%以上
情報公表 青少年雇用情報(3類型)をすべて公表していること
その他 過去3年間に認定取消しや内定取消しがなく、過去1年間に事業主都合の解雇や退職勧奨がないこと、など

ここに並ぶ数字は、あくまでユースエールの認定の条件です。国が「良い企業の目安」として示した数字とは性格が違います。認定企業は厚生労働省の若者雇用促進総合サイトで検索できます。

上の基準は、厚生労働省が公開しているリーフレットにもとづいています。資料の管理番号から2018年度の版の可能性があり、その後に基準が改定されていることもありえます。応募前に厚生労働省の最新のページで確認してください。

出てきた数字を読むときの注意

離職率や残業時間について、何%なら良い、何時間なら安心という公式の目安はありません。数字は1つだけで判断せず、背景も合わせて考えるのが無難です。一般的には次のような点に気をつけます。

  • 平均勤続年数は、社員の年齢構成によって変わることがあります。参考値の平均年齢と並べて見ると読みやすくなります。
  • 月平均所定外労働時間は全社の平均です。部署や職種、時期によって差があることもあります。
  • 新卒の採用者数が少ない企業では、1人の離職で率が大きく動きます。ユースエールの基準でも、採用者が3人または4人の場合は別の扱いが定められています。
  • 提供される情報は雇用形態別です。正社員の募集なら正社員の数字なので、応募する区分の数字かどうかを確かめましょう。

応募資格などは募集要項の確認ポイントで、選考の進み方は選考段階ごとの流れで整理しています。

よくある質問

まだエントリーしていなくても情報を求められますか

求められます。対象は応募者だけでなく「応募しようとする者」も含まれます。ただし、その募集の対象外であれば求めはできません。

企業はすべての項目に答えないといけませんか

義務とされているのは、3類型それぞれについて1つ以上の情報提供です。12項目すべてを出すことまでは義務になっていません。指針では全項目の積極的な提供が望ましいとされています。

しょくばらぼに載っていない企業はどうすればよいですか

企業の採用ページを確認したうえで、メールなどで情報の提供を求めましょう。

就職情報サイトでプレエントリーしただけでも「求め」になりますか

公式リーフレットでは、就職情報サイト経由や採用ホームページでのプレエントリー(氏名・学校名・連絡先などの登録)も「求め」になると書かれています。知りたい項目がはっきりしているなら、別途メールで伝えると確実です。

ユースエール認定がない企業は避けたほうがよいですか

そうとは限りません。ユースエールは常時雇用300人以下の中小企業が対象の制度で、それより規模の大きい企業は対象に入りません。認定の有無は判断材料の一つにとどめ、職場情報の中身も確かめてください。

まとめ

  • 新卒向けの募集をする企業は、求めがあれば3類型それぞれについて1つ以上の職場情報を提供する義務がある
  • 項目は(ア)募集・採用、(イ)職業能力の開発・向上、(ウ)雇用管理の3類型・12項目
  • まずしょくばらぼで調べる。検索はタイプ別・フリーワード・詳細条件指定の3通りで、比較機能もある
  • しょくばらぼはハローワークインターネットサービス、job tagと連携している
  • 載っていなければ、氏名・連絡先・学校名と在学年(卒業年月)・提供希望の4項目を伝えて企業に求める
  • 求めたことを理由にした不利益な扱いは禁止されている
  • ユースエールの基準値は認定の条件で、応募前に厚生労働省の最新ページで確認する
  • 離職率や残業時間に「何%なら良い」という公式の目安はない

参照した情報源

  • 厚生労働省・大阪労働局・ハローワーク リーフレット「就労実態等に関する職場情報を応募者に提供する制度について」(jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/library/osaka-roudoukyoku/H29/antei/syokai2/seisyounenjoyouhou/jyouhousyuuti.pdf、2026年10月17日確認)
  • 大阪労働局「若者の採用・育成に積極的な企業(若者雇用促進法に基づく認定制度・若者応援宣言事業)」(jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/shokugyou_shoukai/hourei_seido/wakamono.html、2026年10月17日確認)
  • 厚生労働省 職場情報総合サイト「しょくばらぼ」トップページ、学生・求職者向け利用方法、3サイト連携のページ(shokuba.mhlw.go.jp、2026年10月17日確認)
  • 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク リーフレット「就職活動中の35歳未満の皆さまへ ユースエール認定企業を知っていますか?」(mhlw.go.jp/content/11800000/001243904.pdf、2026年10月17日確認)

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